
AIが書ける小説というのはどういったものなのか気になりますよね。AIの技術が進化してきて、いよいよ創作活動である小説を執筆することさえもAIで実現可能な未来が見えてきました。
本記事では、AIが書く小説やAIに小説を書かせるプロジェクトについて紹介していきます。
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目次
AIの書く小説とは?
AIは人間のような仕方で”創作”することはできないとされいるため、人間が何かテーマを与える必要があります。AIは膨大なデータを利用して学習していき、そこから答えを導き出しているため、ゼロからイチを作ることがとても苦手な分野です。
後で詳しく説明しますが、AIが作って賞を取った作品がありますが、すべてがAIによって作られたものではありません。
ストーリーや構成など大枠の作成は人間の手によって行われたうえで、それに沿ったように機械的に文章を作成するのがAIの仕事です。完全にAIによって小説が作られるわけではありません。
AIが書いた小説を3つ紹介!
ここからは、実際にAIが書いた小説を紹介していきます。今回紹介する小説は以下の3つです。
それぞれの紹介していきます。
「人狼知能小説生成システム」
人狼知能小説システムにはプロローグまではすでに書かれており、指定した番号によって本編の内容を作ります。
番号によってストーリーが異なるので、しっかりと本編の部分を作れていることが分かります。誰でも見ることができるので、気になる方はぜひ一度読んでみると良いでしょう。
「コンピュータが小説を書く日」
コンピュータが小説を書く日は、第三回星新一賞応募作品です。「コンピュータが小説を書く日」というタイトルをそのまま実現しています。
第3回星新一賞へ応募した作品を作るために使用したシステムを実際に動かすことができます。物語を作る設定も3つほどあり、応募作品と同様の設定で出力することも可能です。
2つの設定は3つのエピソードと結語からなる物語を出力して、残りの一つは一つのエピソードを出力します。
このシステムは誰でも触ることができるので、実際にAIがどのような小説を書いて星新一賞の1次審査を突破したのか見てみると良いでしょう。
「私の仕事は」
「私の仕事は」も星新一賞へ応募した作品です。PDFで文章が載っています。読んでみると分かるのですが、まるで人間が書いたような文章です。
人工知能を用いてここまで、文章を作れるのかと驚く人も多いのではないでしょうか?
AIが小説を作る仕組み
AIが小説を作る仕組みはいくつかの種類があります。この章では、2つの代表的な手法について紹介します。
テキストの切り貼り
1つ目の手法は、コピペにはならないように、テキストを持ってきてそれを改変してくものです。しかし、この方法では単なる切り貼りをしているに過ぎず、文章と文章をつなげることは困難です。
文章を節ごとで区切って小説を作るのには限界があるとされています。
言葉を当てはめて作成
2つ目の手法は、テーマやストーリーをあらかじめ人の方で考えておいて、その文章を出力させるという仕組みです。
物語を考えることはAIにはさせません。AIはゼロからイチを作ることが苦手なので、テーマやストーリーは考えておく必要があります。
AIが小説を書くことにおける課題
AIが小説を書くときの課題として、「100%小説を創作することが困難」ということが上げられます。
AIは大量のデータを取得して、答えを導き出します。そのため、文章生成ツールやシナリオを書くツールが出されたとしても、AIで小説のすべてを書ききることはできません。
ストーリーを作るツールも、ソフトウェアの方で聞かれた質問を入力していき、その答えを本に物語を作っていきます。ストーリーを作るにも事前になにかのデータを必要とするのです。
そのため、自ら構成を考えて文章を作るという100%AIが作った小説は作ることが現状できません。この意味で、AIには人間のような「意思」がないのです。
小説を書けるAIソフト
では、小説を実際に作成できるソフトにはどのような種類があるのでしょうか。今回は代表的な2つのAIソフトを紹介します。
フルコト
フルコトは、脚本家の物語の作り方の手法を学習したAIです。日本の脚本を作るフレームワークである起承転結の考えをAIに学習させたのです。
そのデータを活かし、AIへと昇華することでストーリーを自動生成できるようになりました。プロトタイプを発表したときには短編映画の脚本を作れるほどになっていました。
Dramatica
Dramaticaは日本語非対応なのですが、映画の脚本にも使われるほどの機能を持っています。ハリウッドのシナリオにも使われたりしているそうです。
シナリオ作成をしていく上で、助けてくれる存在でもあります。日本語非対応なのが残念ですが、使えるようになったら日本でも有名になるかも知れませんね。
小説を書くAIプロジェクト
次に、AIを用いて小説を作るプロジェクトのうち、特に話題になったプロジェクトを2つ紹介します。
ハリーポッター
Botnik Studiosとういう集団がハリーポッターの全7巻を学習させて、ハリーポッターの新作を作りました。内容はとても本編を引き継いでいるような内容ではなく、かなりインパクトの強いストーリー展開になっています。
Twitterでハリーポッターの新作を発表したときには、良いねの数が8万を記録するなど、かなり注目を集めていました。
きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ
気まぐれ人工知能プロジェクト「作家ですのよ」は、公立はこだて未来大学の松原仁教授を中心にしたチームによって2012年9月にスタートしたプロジェクトです。
プロジェクトの内容は星新一のショートショート全編を分析して、エッセイなどに書かれたアイデア発想法を参考しして人工知能に物語を創作させることを目指すことです。具体的には、「GhostWriter」と表層文生成ツール「Haori」を使って生成して小説を作りました。
完成した小説のうち、星新一賞へ応募した1作品は、結果的に1次選考を突破できました。人が作った小説でも審査を通過することは難しいにもかかわらず、人工知能が作った小説が審査を通過することは画期的なことです。
AIが今後どのような小説を書いていくのか
今の技術ではAIはゼロからイチを生み出すことができないため、100%小説を書くことができません。
しかし、いずれ人工知能が自分で文章の構成を練り、文章を作りオリジナルの小説を作れるようになれば、小説の在り方や楽しみ方、AIに対する認識はさらに変化していくでしょう。
今後小説をAIで書くのが一般的になり、人間特有の小説とAI特有の小説の違いを楽しむ未来がやってくることを考えると胸が膨らみますね。
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まとめ
これまでAIを用いて作成した小説や、その実現のためのプロジェクトを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
小説を100%人工知能で書くことは現段階では難しいですが、これから先は何が起こるのか分かりません。どんな未来が来るかと想像すると面白いですよね。
まだAIが書いた小説を読んだことがない人は一度読んでみると、人間が書いた文章に見間違えるほどの出来に驚くと思います。AIが書いた小説を読むことで何か新しい発見があり面白いかもしれません。
今後、AIの芸術領域の進出がますます楽しみですね。特にAIの画家やイラストなどはさらに注目が広がっていくでしょう。
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AINOWでライターをしています。工学部に所属しており最新の技術には興味があるので、どんどんAIの知識を深めて発信していきます!