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2020.12.08

機械学習エンジニアの年収はいくら?年代別の年収や海外との違いを解説

近年のAIブームにおいて、その根幹を担っているのが機械学習技術です。機械学習への注目の高まりと同時に、機械学習モデルを作る上で欠かせない職業「機械学習エンジニア」に注目が集まっています。

現在、人手不足のため機械学習エンジニアは重宝される存在です。技術の変遷とともにその市場価値は変動する可能性がありますが、機械学習エンジニアは高給・高待遇が期待できます。

ということで今回は、機械学習エンジニアの平均年収をテーマにご紹介していきます。

機械学習エンジニアとは

機械学習エンジニアとは

機械学習エンジニアとは、簡単に言うと機械学習モデルを構築するエンジニアです。ときには「AIエンジニア」や「MLエンジニア」とも呼称されます。

AIに関連する職業の中でも特に注目されている職業で、多くのデータを学習させて作る「機械学習モデル」の開発や、現場環境への実装を手がける職業です。

機械学習では、従来のエキスパートシステムなどのように、全てのコードを「if文」のようにルールベースで定義することはせず、比較的少ないコードで済む場合が多いことが特徴です。そのため、機械学習エンジニアは、多くのデータを学習させ、精度を向上させるために、アルゴリズムやデータの形式を工夫する力が必要です。

機械学習エンジニアの仕事内容

機械学習エンジニアの実際の業務内容は企業によって変わります。音声認識エンジンの開発を行う企業もあれば、ヘルスケア関連の解析を行う企業もあったり、中にはチャットボットの開発を行う企業などもあります。

また、業務のレベルについても、モデルを動かす部分のみを担当するエンジニアや、設計段階から関わるエンジニア、モデルそのものを作る研究を行うエンジニアなど、さまざまなタイプのエンジニアがいます。

一般的には、以下のような業務内容があります。

  • 機械学習モデルの構築と検証
  • 機械学習の基盤整備や運用・保守
  • 論文などを通して最新技術の調査

機械学習モデルの構築と検証

機械学習エンジニアの業務の根幹を成すのが機械学習モデルの構築と検証です。機械学習の中でも、現在活用が進む多くのモデルでは、多くの教師データを学習させることが必要です。

機械学習の基盤整備や運用・保守

画像認識だけでなく、テキスト分析や音声認識、ユーザのログなど、機械学習で取り扱うデータの形式は幅広いことが特徴です。そこで、社内でデータ基盤を整備し、社内で迅速なデータ活用を推進する企業もあります。

論文などを通した最新技術の調査

機械学習領域では日々、急速に技術革新が起きています。世界的な学会では、斬新なモデルが発表され、話題になることもあります。機械学習エンジニアにとって、最新の技術情報を把握し、時にはそれを自社のシステムに取り入れることも重要な役割です。

機械学習エンジニアとデータサイエンティストの違い

機械学習エンジニアと似た職業として、データサイエンティストがあります。企業の求人でも、機械学習エンジニアと同列に募集がかけられることもあります。

両者を分ける明確な定義は決められていませんが、データサイエンティストはその名の通りデータを扱うことに重点をおいた職業です。

例えば、械学習の手法を用いたアプリケーションの開発をデータサイエンティストが行うことなどはあまりありません。その代わり、企業(自社の場合もあれば他社の場合もあります)の保持するデータを解析して、ビジネス戦略を立てるといった仕事をすることになります。
これはあくまで一般的な話で、企業によってはほとんど機械学習エンジニアと同じような業務をすることもあり得るので、求人ごとに仕事内容を確認してみるのが一番でしょう。

▼機械学習エンジニアについて詳しくはこちら

▼データサイエンティストについて詳しくはこちら

機械学習エンジニアの年収

機械学習エンジニアの年代別平均年収

平均年収平均年収平均月給ボーナス
20〜24歳570.0万円35.6万円142.5万円
25〜29歳660.0万円44.4万円177.5万円
30〜34歳680.0万円48.8万円195.0万円
35〜39歳786.0万円55.6万円222.5万円
40〜44歳879.0万円62.5万円250.0万円
45〜49歳998.0万円70.0万円280.0万円
50〜54歳1090.0万円75.0万円300.0万円
55〜59歳1080.0万円74.0万円297.5万円
60〜65歳710万円50.6万円202.5万円

参照:平均年収.jp

※平均年収と国税庁の年齢別階層年収との比率で平均年収.jpが独自で算出した結果です。
※ボーナスは夏冬合わせた4か月分で算出してます。
※年俸制は対応していないため年収を12で割った数値が予測数値となります。

令和1年度(2020年)の全職種の平均年収は、436万円でした。

一方、機械学習エンジニアの全年代の平均年収は752万円です。

機械学エンジニアの求人例

企業名年収
エムスリー株式会社700万円~1,000万円
BHI株式会社700万円~1,000万円
note株式会社500万円~1,100万円
SMN株式会社700万円~900万円
株式会社セブン&アイ・ホールディングス500万円~1,000万円
株式会社グロービス700万円~1,000万円
ソフトバンク株式会社586万円~1,648万円
株式会社MonotaRO500万円~1,500万円
ストックマーク株式会社600万円~1,200万円
株式会社Algoage700万円~1,000万円

機械学習エンジニアの求人を見てみると、年収1000万円超えの募集が多く掲載されています。

海外の機械学習エンジニアの平均年収

アメリカの求人情報サイトGlassdoorによると、アメリカ国内での機械学習エンジニアの平均年収は$114,121(1ドル105円換算約1198万円)と見積もられています。(2020/10/11 時点)

機械学習エンジニアの市場価値は日本とアメリカで大きな開きがあることがわかります。

また、米国の有名企業の年収をいくつかピックアップしました。

Oracle

2018年、「Oracleが自社株なども含む600万ドル(約6億4000万)相当のオファーを出してAIのトップエンジニアを獲得した」というニュースが話題になりました。もちろんこれは、それだけ優秀なエンジニアだった背景もありますが、優秀なエンジニアには高額な報酬が支払われる企業もあるとは、夢のある話ですね。

GAFA

有名企業における平均年収はどのようになっているのでしょうか。

GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)で働く機械学習エンジニアの見積もり平均年収を調べところ、

  • Google18.6万ドル(1990万円)
  • Apple19.4万ドル(2076万円)
  • Facebook21.1万ドル(2258万円)
  • Amazon13.9万ドル(1487万円)

と、いずれも高額な給料が支払われているようです。

国内外の機械学習エンジニアの年収まとめ

典型的な求人をまとめると、機械学習エンジニアの年収は以下の通りです。

AIエンジニアの求人の類型年収の相場
未経験OK300万〜400万円
日系500〜1000万円強
外資系800〜1500万円
アメリカ大手数千万〜数億円

機械学習エンジニアが年収を上げるには

機械学習エンジニアは平均年収が高いということをご紹介しましたが、経験を積んだりスキルを伸ばしたりすることで、さらに収入を増やすことができます。

年収を伸ばすための具体的なアクションは3つです。

  • 体系的な知識をつける
  • 流れる知識をつける
  • 現場経験を積む

それぞれ解説します。

体系的な知識を身につける

機械学習エンジニアの体系的な知識は、例えば数学や統計のことを指します。機械学習と数学・統計は切り離すことができません。

数学の知識があれば、数式をベースとしている機械学習への理解が深まるため、AIが出した結果に対して、なぜそのような結果になったのか、その結果が妥当なのかということを判断しやすくなります。

また、機械学習では、大規模なデータ分析や処理を行う際に統計の用語や知識が必要になる場合があります。

例えば、データの相関性を表す「相関係数」なども基礎的な知識の一つです。

ただ、ライブラリを使えば機械学習を回せるため、必ずしも機械学習エンジニアの全てがそのような知識を持つ必要はありません。

そのため、数学や統計の知識があれば機械学習エンジニアとしての希少価値が上がり、年収も上がります。

流れる知識を身につける

ここでいう流れる知識というのは、最新の論文やAIの活用状況を指します。

機械学習は、日々急速な進歩を遂げているため、今使っているシステムやモデルが数年後には古いものとして扱われる可能性も大いにあります。

そのため、機械学習エンジニアは、最新の機械学習の技術研究や活用状況を知っておかなければなりません。

時には、その技術・知識を自分たちのシステムに取り入れる場合もあると思います。その際、どうしても避けては通れないのが論文や公式ドキュメントです。しかし、それらの多くは英語で書かれています。

そのため英語の文章を読めた方が、より効率的に最新の機械学習を学ぶことができます。

積極的に最新の情報を取り入れ、知見のアップデートができる人材は非常に重宝されるでしょう。

現場経験を積む

現場経験を積み、実際に現場でAIを上流から下流まで体験しきることは、1番のスキルアップの近道です。

これはエンジニアに限ったことではありません。

例えば営業でも、どれだけWebで調べたり本で営業の勉強をするより、実際に営業の仕事をした方が課題や反省点などが見つかり、より効率的に成長することができます。

機械学習エンジニアもこれと同じです。

まずは、小さいところからでも良いので、現場で経験を積みスキルをつけます。ある程度スキルがついたら、昇進したり、より待遇の良い企業に転職したりして年収をあげることができます。

機械学習エンジニアになるには?

スクール or 独学で勉強

専門的な知識を獲得することができるスクールが増えています。

無料で学べる講座も増えているのでチェックしてみてください。

▼AIが学べる講座はこちら

▼機械学習の書籍はこちら

未経験OKの企業に入って実務経験を積む

数はは少ないですが、探してみると未経験でも歓迎の募集もあります。

前述でもあるように、現場経験はスキルアップするための1番の近道です。

その場合、全く未経験で選考に臨むのではなく、自分である程度勉強やちょっとした成果物などを作っておくと、より採用されやすいです。

具体的には、Pythonなどのプログラミング経験があれば、プラスαで数学や統計の知識をつけることで、機械学習エンジニアになるための知識をつけることができます。

また、未経験でも大学で情報科学を専攻して学べば、機械学習エンジニアとしての就職が可能です。

最初はソフトウェアエンジニアになってもOK

未経験の場合、まずはソフトウェアエンジニアとして実務経験を積んでから、機械学習エンジニアを目指すという手もあります。

エンジニアとしても未経験の場合、機械学習エンジニアになるのは少々敷居が高いです。

しかし、一度エンジニアとして経験を積むことで、アルゴリズムの部分やSQLなどのデータベースの知識、チームでの開発経験などが得られるため、機械学習エンジニアになる難易度が下がります。

まとめ

今回は、「機械学習エンジニアの年収はいくら?」というテーマでご紹介しました。

海外の機械学習エンジニアの平均年収と比べると、日本は低い印象ですね。

しかし、機械学習エンジニアは、日本の全職種の平均年収より1.5倍以上も平均年収が高く、年収1000万円以上の報酬をもらえる可能性も大いにあるので、非常に夢のある職業だと思います。

機械学習はこれからも進歩が続くと思われるため、機械学習エンジニアの年収も今より上がっていくことが予想されます。

未経験からでも機械学習エンジニアになることは可能なので、興味のある方はぜひ一度挑戦してみてはどうでしょうか?

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