
AIの活用範囲は年々広がっています。
富士キメラ総研の調査によれば、2018年度のAIビジネスの国内市場規模は5301億円と推定されています。市場規模は今後もさらに拡大していくでしょう。
今、AIにはビッグウェーブがきているのです。この波に乗るべく、続々と投資が始まり、多くのファンドが設立されました。AIに注目しているファンドにはどんなものがあるのでしょうか。ファンドが設立された背景などを詳しく見ていきましょう。
AIファンドとは
AIファンドには、AI企業に投資するファンドとAIを使って投資をするファンドの2種類があります。
2種類について詳しく見ていきましょう。
AI企業に投資するファンド
AI企業に投資しているファンドの代表例として、グローバルAIファンドやソフトバンク・ビジョン・ファンドが挙げられます。
グローバルAIファンドは、マザーファンドである「グローバルAIエクイティ・マザーファンド」に投資します。そしてグローバルAIエクイティ・マザーファンドは、世界の上場株式の中から、AIの進化や応用に高い成長が期待される企業に投資します。
マザーファンドの運用は、アリアンツ・グローバル・インベスターズU.S.LLCが担当。アリアンツ・グローバル・インベスターズを含むアリアンツ・グループは、資産運用における世界的な主要企業です。
一方、ソフトバンク・ビジョン・ファンドはソフトバンクグループが立ち上げたファンドで、AIベースのテクノロジーにフォーカスしています。Appleやフォックスコン、Microsoftなどのテクノロジー企業と投資家が参加するファンドです。
ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長 兼 社長の孫 正義氏は、「1社で10兆円の規模の資金を集めて、AI革命に一気に同時多発的に出資を行っています。このあり方も一つの確信だろうと私は思っています。」とSoftBank World 2019で語っています。出資先も80社以上に到達しました。
また、孫正義氏は「日本はAI後進国になってしまった。(中略)日本も早く目覚めて、早くこの進化に追いつき、追い越さなくてはいけないと思っています。」とも語っており、AIに投資する重要性を訴えています。
AIを使って投資をするファンド
AIを使って投資をするファンドの代表例は、AI日本株式オープンやAI(人工知能)活用型世界株ファンドです。
AI日本株式オープンはAIを活用して、膨大なデータを分析し、安定高配当銘柄を選定することを特徴としています。データを分析するだけでなく、経済ニュース、市場参加者(アナリストなど)の利益予想等を用いて複合的に評価銘柄を選定します。株式個別銘柄戦略で活用できます。
また、ディープラーニングの技術を用い、日次予想モデル・月次予想モデル・転換点予測モデルを作成できます。
一方、AI(人工知能)活用型世界株ファンドは日本を除く、世界の株式を実質的な投資対象として、AIを運用して投資を進めていきます。
どちらのファンドもディープラーニングやテキストマイニングを活用して、投資を有利に進めることを目指しています。
AI企業に投資するファンドが設立されている背景
このようなAIファンドが設立されているのには、どんな背景があるのでしょうか。AIの活用範囲・市場規模の観点から考えて行きます。
AIの活用範囲が広がっている
AIの活用範囲は多岐にわたります。
- 自動運転
- ヘルスケア
- 創薬
- フィンテック
- HRテック
- スマートスピーカー
- マーケティング支援
など、これらの範囲で活用可能なAIは今後さらに発展をしていくことが見込まれているのです。
AIの市場規模が大きくなってきている
現状として、企業はAIテクノロジーをいかに使ったら良いかを試行錯誤している状況です。
そのため、現在のサービスや製品はPoC段階であることが多くなっています。
しかし、今後さらに技術が進歩し、本格的に企業に導入されるようになれば、さらに市場規模は大きくなっていくでしょう。
富士キメラ総研の「2019 人工知能ビジネス総調査」によれば、2018年度のAIビジネスの国内市場規模は5301億円と推定され、2030年度の市場規模は、2兆1286億円と予測されています。
今後はAIテクノロジーを搭載したサービスや製品が市場に次第に投入され、さらに市場が加熱していく可能性があるんです。
まとめ
今後、さらに市場規模が拡大していくことが予想されているAI。
そんな時代の中で、AI「に」投資するファンドと、AI「で」投資するファンドの2種類が登場しました。
AIを扱う企業を投資対象とするAI「に」投資するファンドは、AIの将来性を示しています。AIの技術を応用したAI「で」投資するファンドは、AIの技術力の進歩を示しました。
このようなAIファンドはAIの進化を示し、サポートしていくためにも重要な役割を果たします。
時代の加速に貢献し、波に乗り遅れないためにも、AIファンドの今後の活躍に目が離せません。
大学では社会福祉学を専攻していたが、「AI時代に、僕たちはどう生きるか」を研究するために休学。
現在はAINOWのほか、スタートアップ企業のためのインタビューメディア「Startup Times」
でも執筆中。